2024年12月 3日 (火)

秋田市の熊事件

熊の話はよくこのブログで取り上げていることは、常連読者さんならよく知っていることと思います。
なぜ、よくネタにしてるのか。
それは、それだけボクには身近なことで、本当に何度も遭遇しているからです。
盛岡市内でも深夜に民家の庭先を歩いていますから。住民の方は気づいていないだけです。

さて、先日、秋田市のスーパーに侵入した熊が2日間も閉じこもり、箱罠でようやく駆除されたという事件が発生し、全国的な話題となりました。
この熊がまたスーパーにエサを求めて来ては大変ですから、残念ながら山に返すことはできなかったということですね。

このように熊は街の中でも平気で現れます。
以前も、熊はちょくちょく盛岡の街なかに現れてますよ、と書きましたが、今回のように山から離れた街なかでも現れるということがよく知れ渡ったのではないかと思います。

なかなか皆さんは熊を見る機会はないかと思いますが、盛岡市内でも深夜にはあちこち歩いていますよ。
本町通りを歩いていたのは一番の衝撃でしたが…。

この秋田のスーパーは、ボクらもよく利用するところなんです。
近くにセリオン(道の駅秋田港)もあるので、調査中の待機場所に都合がよく、コンビニもスーパーもあるので便利なんです。
ボクらには道の駅のように24時間トイレが使えるという場所は重要で、あちこちの町のトイレ情報を持っています。
スーパーいとくはセリオンに近く、駐車場も大きいので便利なんですよね。
とにかくセリオンにはお世話になっています。「NHK・ドキュメント72時間」で紹介されたうどんの自販機もありますし。

あそこまで熊が来たというのはやはり熊慣れしているボクも驚きでした。
おそらく秋田北インターの向こう側の上新城から下新城の山を通過して、飯島の発電所あたりの林から新城川を抜けて南下したものと思います。
盛岡は山が近いので不思議はないんですが、秋田市民には脅威だったでしょうね。
でも、熊は深夜に身近な場所を行動しています。皆さんご注意を。

うちの調査は本当にガッツリやるもので、深夜に山の中や林の中で待機することは珍しいことではありません。
とにかく春から秋は怖いです。本当に熊が怖くて、時々調査を途中でやめることすらあります。
以前は山や林のケースだけが怖い現場でしたが、最近は街なかでも警戒しなければならなくなり、どこも怖くて、調査が以前より簡単ではなくなっているのを実感しますね。
深夜に熊鈴なんて鳴らせませんし、熊に後ろから襲われないのは運が良いだけの話です。
この運がいつまで続くか…と深夜の調査は怖くてたまらない時代になってしまいました。
地方の調査の難しさが増えてしまいましたね。

ただ、今は都会の調査も大変で、それは例の「トクリュウ」ですね。
今問題となっているネットで募集している強盗です。
あの強盗の下見や強盗そのものと、探偵は似てるんですよね。
住宅街をうろうろしたり、そっとカメラを取り出したりなんて、あの強盗のあんちゃん達と探偵の行動は似ています!
そのため、不審者として通報されるリスクが上がり、とってもやりにくくなっていると思います。

早くトクリュウがバンバン逮捕されて下火になってくれることを願っています。
さすがに岩手ではトクリュウの下見のような事件は起きていないので、やはり関東近郊などのお話という感じですが、ヤツらが地方に目をつける前に収束してほしいと思いますね。

熊と犯罪者には要注意です。大変な時代になったものだと思います…。

2024年8月29日 (木)

ついに岩手県の探偵が逮捕です

ついに恐れていた事態と言いますか、予想していた通りと言いますか、8月28日、岩手県内の探偵事務所代表が逮捕されました。
なお、このブログ記事は事件の注意喚起と、「岩手県 探偵 逮捕」などのキーワードで検索して来られる全国の方がいるので、逮捕されたのは当事務所ではないということを告知するために書かれています。

記事はこちら(TBSニュース・IBC岩手放送)
「法律で定められた事項を記載した書面をあらかじめ交付しなかった疑い 探偵業法違反で34歳の男逮捕 岩手県内初摘発 8/28(水)19:43配信」

ということでした。
一関市在住で、盛岡市三ツ割で探偵事務所を開業しているA氏(34歳)ですね。

解説しますと、探偵は探偵業法という法律下での業務となっていて、その法律に反したことを行うと逮捕というケースがあります。
今回は契約内容に違法性があったということですね。
契約書を交わさずに依頼を受ける業者に依頼をするということはいかに危険なことかということです。

ただ、契約の不備であれば逮捕までされるということはめったにないと思います。
書面交付の問題ではなく、もう少し何か依頼者さんとの間で揉め事があったため、逮捕まで至ったのではないでしょうか。
その被害女性がA氏と何か揉める事態が発生し、管轄署の盛岡東署に相談をしたものと思われます。

起訴となるか有罪となるかはまだわかりませんが(ですので現在はまだ有罪と確定しているわけではありませんが)、報道の様子だと「余罪を追及」とのことなので、何か問題となっている点がもっと他にあるのかもしれません。最長3週間ほどですが、東署で勾留されて取り調べを受けるものと思います(追加情報:捜査関係者の情報によると数日で釈放されるようです)。

この事件を受けて、腑に落ちたことがあります。
それは今月前半に岩手県警による、岩手県内の探偵登録業者に対する「立ち入り検査」があったのです。
立ち入り検査というのは全国で行われているもので、申請書通りの住所・代表者か、標識の表示、従業員名簿などを確認する行政検査です。

探偵業法施行の2006年からすでに18年経つわけですが、岩手県では過去に一度も立ち入り検査が行われてこなかったのです。
他県では、特に「探偵と暴力団問題」を抱える愛知県などは毎年のように立ち入り検査が行われています。
なぜ岩手県では一度もないんだろう?と不思議に思っていたんですが、今年、探偵業法の改正があり、ようやく立ち入り検査が入ったわけです。
ボクは「4月に法改正があったからなんだろうなぁ。でも、なんでこのタイミングなんだろうな、なんか急いでる感じもあるし、違和感があるなぁ」と思っていたんですが、理由はおそらく法改正のタイミングだけではなかったということですね。

つまり、岩手県内では悪徳探偵業者が多いということと、今回の探偵事務所に対する東署の内偵が進んでいたため、各登録者の所在確認と面通しも合わせて行われたものと推測します。
今回逮捕されたA氏は一関在住のようですが、登録は盛岡ですから、どちらに逮捕に入るか、所在確認が必要だったのかもしれません(出頭要請での逮捕かもしれませんが)。
そう考えると、このタイミングであったということが理解できます。

うちは盛岡だけでなく登録がありますので、各地の警察の立ち入り検査を経験しています。
警察官の方はいつも「まともに営業している業者なんてないですよね」とボヤいているんですよね。
これが実態なんですよ。
だって、岩手県の探偵業者はみんな事務所も持っていないんですから。
うちはきっちりしてますので、警察官さんにも「まともな業者もあるんだな」と思っていただけたと思います。
この差ではないでしょうか。

岩手県での探偵の逮捕は、2016年の「ハート&ハート調査室事件」(盛岡市盛岡駅前通)以来ではないかと思います。
こうして数年おきに逮捕者が出ています。
このハート社は長年、調査をやったふりをして依頼者さんからただただ大金をむしり取って脅す、という詐欺を行っていて、最終的に「息子さんを大学に裏口入学させてやる」と言って、母親から300万円をだまし取った罪で逮捕され、全国ニュースで報道されました。

今回のA氏もTBSニュース、IBC岩手放送と岩手日報(ドコモニュースやgooニュース、ニュースピックにも配信)にて報道されました。
逮捕されても今後営業を継続するのか、廃業するのか、動向を見て行きたいと思います。
代表者が逮捕されても、ダミーの人を代表に立てて営業を継続することも可能なんですが、ネットにこういったニュースがずっと残るわけですから、よほどの人じゃないと続けられないと思いますが…。

東京には半グレや暴力団関係者がダミー代表を立てて経営している探偵事務所もありますから注意が必要です。

何年か前に青森県八戸市でも探偵が逮捕される事件がありましたが、その方はまた復活して営業を続けています。

本当に困ってる依頼者さんのためにちょっとグレーな調査をして逮捕されるなら、まだ逮捕の意味も違ってくるのでいいんですが、依頼者さんをだましたらアウトです。


今回逮捕されたA氏は、うちをウェブサイトでディスってた過去があるんですよね。
それは「弁護士を紹介するという探偵業者は犯罪です」と書いてました。

弁護士さんネットワークを持っていて、紹介できるのは北東北ではおそらくうちだけですから、うちに対して言ってるのは明らかでした。
弁護士を有料で紹介することを業として行う人間は確かに犯罪です(弁護士法違反)。
そして、非弁提携を行っている何らかの業者や個人が弁護士を紹介することも違法です(同じく弁護士法違反)。
うちは無料で、かつ非弁提携をしているわけではありませんので、「こちらの弁護士さんが離婚に強いから相談に行ってみては?」と知人の先生を紹介しています。
依頼者さんも各地で離婚に強い弁護士さんにお願いしたいですよね。うちが知ってるならそれを依頼者さんに教えないと。
うちをディスってること自体、間違った知識でお客さんを欺いている「悪徳商法の一環」に過ぎないということです。

ところが2年くらい前から、このA氏も弁護士さんの紹介を始めたので、あわててうちをディスってる部分を削除していました。
自分も紹介をするようになったら、急に弁護士を紹介するのは犯罪行為ではなくなったようです。ご自分で言ってたのにね。

数年前にツブれた「ガルエージェンシー盛岡」も、日本一安いと言われるうちに対して、相談者さんに「いちご探偵事務所は安いと言って、実は100万円も請求してくる」とか嘘を言って、お客さんをだましていました。
ボクはこう思いました。「それ、お前だろ!」
あまりにもしょうもないことを言うので、ガルの相談者さんが逆に次々にうちに来て契約するという事態になりました。良かったです。結果的にガル盛岡は自滅し、閉業となりました。
ハート&ハート調査室もそうでした。

こうして、うちの事務所の悪口を言ってた業者はみんなツブれたか、こうして逮捕されています。嘘を言って依頼者さんをだましてはいけません。

うちは依頼者さんのために、常に正しいことを言ってるにすぎません(元・報道ですし)。

いま、もう一つ注視している探偵業者がありまして、そちらも逮捕されるのではないかと思います。

岩手県内の探偵業者はうち以外、みんなつながりがありますから要注意です。うちは本当に独立した真っ当な探偵事務所です。

岩手県で唯一のプロ業者、いちご探偵事務所は他の探偵事務所とは全く違います。
ぜひ、配偶者の浮気でお悩みなら、当事務所にご相談ください。

実際の依頼者さんにしか言ってなかったことをブログで公開しますが、いちご事務所は東京での芸能関係者、スポーツ関係者からの依頼がとても多いんです。
ボク自身がテレビディレクターやレコード会社ディレクター、電通などの仕事をしていた関係もありまして、東京の芸能関係の旦那さんや奥さんのネットワークで依頼があるんです。文春と同じですよ。うちが忙しそうにしてるのはこういう移動もあるからなんです。
うちの依頼者さんはそういった写真などを100枚以上見ることができて把握されていますが(もちろん、顔はわからないようになっています)、あまり表立って言ってはこなかったです。
今回お話したのは、依頼される方は実際にそういう写真も見て、うちが本当に普段からちゃんと全国で調査を行っているプロ業者なんだとわかっていただけたらと思ったからです。依頼される人しか見れませんけど。
悪徳業者はそういう写真を出せませんからね。

以上、探偵逮捕のニュースでした。

2024年8月19日 (月)

盛岡のラブホテル

先月、調査で南大通を歩いていたところ、ある建物の前を通過したらリフォームをしてました。

「えっ!マジで?」
昔、ラブホテルだった「旧・エンペラー」ですね。
肴町から一本入ったところにあったラブホです。

震災前あたりはここに行く不倫カップルもいたので、たま~にボクらも行くことはあったんですが、なんせ古かったのでめったに行く機会はありませんでした。
実際はほぼ「デリヘル利用目的」のラブホだったんですよ。一般の方だとご年配のカップルとかが多くて。
そもそも、この肴町や中ノ橋のラブホの7~8割はデリヘル利用の単独男性が利用している感じですね。

不倫カップルよりもデリヘル利用型だったために探偵にはあまりご縁がないホテルだったんですが、まさかの復活です。
新しい名前は「ホテルケーブ」です。ケーブは「洞窟」という意味ですね。洞窟マークが描かれていました。
あと数日で営業再開です。
キレイにリフォームされるということはデリヘルだけではなく、普通のカップルや不倫カップルに利用されることも多いかと思います。
ホテルが増えるということはチェックしないといけない物件が増えるということでボクら探偵には微妙な話ですが、撮影そのものはやりやすい物件なのでむしろありがたいかもしれませんね。

追伸:ホテルケーブは岩手県初の禁煙ラブホテルになったようです。紙巻は全室禁止。半分の部屋は電子のみ可ということです。
ニオイが気になる女性には良いかと思います。喫煙しない不倫カップルにはちょうどいいのかもしれません(帰宅後もバレない)。

2024年7月20日 (土)

松本人志氏と週刊文春の戦い

最近、ネットニュースやワイドショーを賑わせていた「松本人志氏と文春のバトル」について、今回はちょっと触れてみましょう。
と言いますのも、皆さんもご覧になったのではないかと思いますが、探偵の存在が物議を醸しています。

よく知らないという方のために簡単に松本人志氏の事件を解説しますね。本日も長くなってすみません…。

ある日、週刊文春に告発記事が出ました。
お笑い芸人コンビ・ダウンタウンの松本人志氏にホテルでの飲み会の際に無理やり性行為をされた女性がいるというものです。
それに対して、飲み会で女性たちを集めた芸人や松本氏は「無理やりはしていない」「合意の元だ」と否定し、松本氏が文春を相手に訴訟を起こしたというものです。

この事件に対する世論は分かれていて、「芸能関係の仕事をしてる女性が、業界内でも影響力のある松本人志の強い態度に明確に拒否はできなかっただろう。本人が嫌だったのにされてしまったと言うならそうだろう」という被害女性側・文春側擁護派
そして、「当時、合意をしたのにお金が欲しいから週刊誌に売っただけだろう」という松本人志擁護派です。

結論から言えば、個人的な考えではどちらも正しいんだと思います。
無理やり説も合意説も、それぞれから見たらそうだったんだと思います。
しかし、その女性が初対面の松本氏と積極的に性行為をしたんですか?という話になりますよね。
そうなればやはり「違う」と思いますね。
合意があったというのも、「積極性があるもの」と、「拒否しなかったから合意」というものは合意だとしても意味は全く違ってきます。
そして、そもそも浮気をしたのは事実ですから、妻子にとったらどちらもキツイ話ですよね。奥さんとお子さん(中学生だそうですが)に心底同情します。

松本氏が裁判にしたのは判断を誤ったと思いますね。
釈明と謝罪の会見を行って、女性と示談にすべきだったと思います。「自分は同意を取ったが、本人が違うというのなら水掛け論なので真偽はわからないことになるが、とにかく世間を騒がせてしまい申し訳ございません。真偽はともかく女性にも金銭保証をさせていただいて、仕事をしばらく休む」とプライドを捨てて、強制は否定しつつ謝罪した方がマシだったのでは?

長期の裁判にすることで余計に芸能の仕事はできず、痛手は広がるばかりと思います。
「自分が強姦したかのように言われるのは許せない。妻子にも迷惑をかける」と怒り心頭だったかとは思いますが、もし裁判で負けたら、それこそ復帰できません。
裁判で勝ったにしても、それは文春の記事に対するものであって、女性を集めて飲み会をして性交渉をしていたという事実は変わらず、もしかしたらその中の何人かの女性は合意をしていない可能性もあるため、松本氏の行為そのものに対する世間の印象はグレーかほぼブラックのままだと思います。

そして、本日の本題の新しい記事について。
松本氏側弁護士である田代政弘弁護士が調査会社を依頼し、被害女性の素行調査を行っていたという文春の記事です。

田代弁護士によると「被害女性が大物弁護士と不倫をしている、このホテルで密会をする」という匿名の情報が寄せられたので探偵を依頼しただけ、というものです。
被害女性が日頃から不倫などという不法行為を行っている人物だと証明できれば裁判で有利になる、と考えたんだと思いますが、何もしないよりは調査をせざるを得ない状況だったとは言え、これはどちらに転ぶかわかりません。

と言いますのも、その女性が現在不倫をしていたにせよ、当時松本氏が強引に性交渉をしたことは免除になるわけではありません(松本氏は合意と主張していますが)。
現在の不倫が当時の合意を証明するものではありません。完全に別件です。
その論理で言えば、前科がある人はまた今回の事件もやったはずだという憶測で冤罪になるのと同じですね。
被害女性の不倫は合意で、松本氏との性交渉は合意ではないということは両立する話です。

被害女性が不倫をしているからと第三者である松本氏と田代弁護士が裁判で主張すれば、それこそ名誉棄損ですよね。
不倫で訴えることができるのは、夫婦間での被害側配偶者しかいないわけです。
いずれにせよ、反撃のネタが欲しかった松本氏と田代弁護士は悪手としか言えないところに踏み込んでいってしまいました。

しかも、その探偵の尾行を文春が尾行して、記事にするというありさま。
悪手に悪手を重ねる失態となってしまったと思います。

そもそも、不倫情報を提供してきた謎の人物がどうやら文春側だったのではないかということで、松本氏側はしてやられたという感じでしょうね。
松本氏側が被害女性に対してストーカー行為のように複数の探偵に尾行をさせたという記事が書ける文春にしかメリットはないです。

文春側は探偵が尾行を行うという予測の元に被害女性の様子を追っていたところ、被害女性が黒ずくめの男に尾行されていること気づいたため、新たな記事が書けると小躍りしたことでしょう。
文春側が一枚上手でした。

そして、わたくし探偵として気になったのはですね、文春に掲載されていた探偵の尾行の写真です。
被害女性からわずか数メートル後ろをぴったりつけて徒歩尾行をしている姿に、ボクは「う~ん、やはり東京の探偵だな」と苦笑してしまいました。
東京では探偵の調査の多くが徒歩尾行のためにこのような手段となるわけです。東京の人混みで失尾してしまうのを防ぐために割と接近戦で尾行を行うのが普通です。
それはそれで仕方ないのですが、やはり不倫をする方などは警戒心があるので、数十分間も後ろを歩いて来る男に気づいてしまうこともよくあるんですよね。
そのため、実際東京の探偵は尾行に気づかれることがかなり多いんです。
本当にうまい探偵はそんなヘマをしないんですが、多くの探偵社は調査を少なからずアルバイトさんや下請けさんに任せているため、彼らは元請けに怒られたくないために、一生懸命近距離で尾行をすることになるわけです(東京の大手と称する探偵社はほとんど下請け専業業者に調査出しているだけで自社だけで調査を行っていることは非常にまれです。調査員が自社にはおらず、営業マンだけという探偵社は東京では普通のことです)。

そして、尾行が発覚する理由はもう一つあるんですが、ほとんどの探偵社は1日で20万円や30万円を超える調査費用を取っていますので、調査日数や調査時間自体は少ないことがほとんどです。
下請けさんは短い日数で成功させなければならないため、無理をすることになります。
失尾して元請けに怒られるくらいなら、バレずに成功できればラッキーですから、接近戦での徒歩尾行を選択するんですね。
相手がボンクラで後ろを一切見ないような対象者なら余裕で成功しますが、接近戦は調査バレすることも頻繁にあります。

うちのように安くて長時間の調査が可能な業者は、バレるのが最悪なことと考えますので、無理をせずに尾行をします。
その日失尾したら、成功するまで再調査をすればいいと割り切っているからです。
特に地方の不倫野郎たちは都会に比べてはるかに警戒心が高いため、接近戦はすぐにバレるリスクが高いんです。
地方は知り合いが多いので、対象者たちはとにかく周囲を警戒してマスクをして、知り合いに会わないように会わないようにと気を付けています。

このように調査バレするには理由があり、それは単にミスをしたという話ではなく、業界的な構造が要因なのです。
打ち合わせが足りてない下請けに無理をさせる。
費用が高いから無理をする。
そのために失敗につながるということです。

日数や時間で縛られない安く調査ができる探偵社は調査バレが最もだと思っていますし、接近戦ばかりやる都会の業者はその日失尾するのがと考える価値観の差があるんです。
うちは調査バレを最も警戒します。例えばその日、不倫相手と会わないとか、食事だけだったという日に接近戦でビタビタに尾行してバレたら、本命の日に調査をすることができなくなるじゃないですか。

ボクも関東の日本最大という探偵社(今はないですが日本唯一の大手探偵社でした)に勤務していた過去があるので、東京の言い分も理解はしますが、バレたらおしまいでしょ。
バレてその後に調査ができなくなるくらいなら、その日は失尾しても、また再アタックして証拠を取ればいいんですから。
安くて長時間稼働ができる業者は、いわば成功するまで粘りますので成功率は必然的に高くなるという仕組みですね。
1日30万ボッタくる業者にはできないことです。

お恥ずかしい話ですが、数年前にボクも東京・山手線で結果的に不倫の対象者を失尾したという苦い思い出があります(岩手の業者ですが東京での調査も頻繁にあります)。
盛岡駅から東京まで尾行していることは絶対にバレてはいないんですが、その対象者が山手線に乗り換え、電車を降りてホームを歩き出したら、すぐ隣の車両(同じ電車の隣りの車両)に再び乗ってしまい(しかも電車の扉が閉まる瞬間に)、こちらも再度すぐ乗り込むことができず、という場面でした。
幸いラブホの証拠部分はバッチリでしたのでそこは問題はないんですが、帰宅時に自宅まで尾行して、不倫相手の家(マンション)を割り出そうとしたんです。ただ、勤務先や氏名は割れたので慰謝料請求できたから良かったのではないでしょうか。
ボクのこの失尾の反省点は、やはり東京だということで「接近戦」をしてしまったことなんです。離れて尾行していたら、隣りの車両に再び乗車されてもこちらも再度乗車をすればいいだけです。
それが接近戦中だったので、扉が閉まる瞬間にこちらが間に合わなくなるわけですね。こちらは車両と車両の間あたりを歩いていたのでドアがなかったんです。
調査自体に気づいていないけど不可解な行動を取る変な対象者というのはよくいますので注意をしているんですが、扉が閉まる瞬間に再度同じ電車に乗られたらこちらも対処できません…。同業者ならあるあるだと思いますが。
接近戦は車の運転と似た要素があるんですが、適度な車間距離を取っておかないと次の対応ができなくなることがあるということですね。
接近戦では二度振り返られたら存在がバレますので。

実際にうちでも、「東京の業者に依頼して岩手で調査をしてもらったら調査バレをしてしまった」という依頼者さんの再依頼というのがよくあります。本当によくあります。
今年だけでもすでに2件。
どちらも車尾行でしたが、1件はやはり接近戦しすぎて発覚。もう1件は田舎で張り込みしていたら不審者となり対象者に発覚というものでした。
地方はそうなりますよ。地方の人はおわかりですよね?
周囲に対する警戒心は地方の方が高いんですから。
そもそも、岩手の調査を土地勘もない東京の業者に発注してはいけません。どんだけお金取られるんですか。
そして、東京の業者は地方での調査は慎重にやってほしいです。

ということで、被害女性を接近戦で尾行した若いあんちゃんが文春に見つかるのも当然。
しかも、そのあんちゃんたちを文春がさらに尾行して、どこの調査会社の人間かを把握されて特攻されてるんですからね。
その上、その業者の一つは依頼人が松本氏側弁護士であることを暗に認めてしまうという失態。
おそらく文春に業者名を出して報道すると言われ、ビビって会社名を出さない代わりに暗に認める形になったのかもしれません。
そこは同情します。業者名出されて失敗を文春で記事にされたらもう営業なんてできませんからね。
文春側の作文なだけか、本当に認めたのかは実際にはわかりませんが。

松本氏側弁護士の田代弁護士は「探偵社が調査依頼を話すわけがない」と言ってましたが、調査失敗で会社名や実名を公表されるくらいなら依頼を否定しないという選択を取った下請けさんもあるかもしれませんから、弁護士にはわからないと思います。
同業者であるほど、「そんな業者もあるだろうな…文春相手じゃ…」と思うと思いますよ。

しかも、被害女性の不倫相手とニセ情報が入ったのが文春ともつながりがある大物弁護士・元東京地検特捜部検事の中村信雄弁護士ですよ。
出所不明の匿名の手紙に乗せられて簡単に調査を依頼しちゃダメな相手ですよ。
何かあると思って様子見しないと…。
こういう場合、様子見の上、次のアクションから状況を読み解かないといけません。
一旦無視をしてみせてると、動きがないことから相手は次のアクションを取りますから。ストーカーや嫌がらせ事件などの対処法もこれです。
そのアクションの質によって何者かの意図を推し測ることができます。
情報が一つだとまだ疑いがあり、二つだと意味を持ち、三つだと確信に迫れます。推理の基本なんですよ。

田代弁護士は「探偵に依頼しとけば何かつかめるかもしれない」と深い考えもなしに、調査をナメて依頼したことがわかります。
調査の前に「これは誰かの策略ではないか…」と一旦考えないといけないんですよ。田代弁護士がいくら元検事でも個人としては文春がどんな組織か理解が足りてないです。
そして探偵側も、文春にハメられることを予測して慎重なスタートが必要だったんです。
謎の密会日をリークされて、その日で結論を出そうと思って接近戦をしたことが裏目に出てます。スロースタートを切っていればハメられていることに気づけたかも…いや、写真週刊誌と一緒に働いたことがなければわかんないか、無理か。…ボクはあります(笑)。
文春やフライデーは探偵と同じ能力がある上、大看板背負ってますので無敵ですよ。ボクら探偵は日陰の存在です。

焦るとロクなことはないです。
これはボクらの調査でも同じです。
依頼者さんが持ち込む情報は憶測も多く、その通りに実行しても証拠は取れません。
依頼者さんは自分の配偶者が頻繁に相手に会っているかのように思ってしまいますが、実際はそんなことはありません。
少ないチャンスを活かすために、パターンの真偽を読み解き、本命の日にしっかり調査を入れるということが大事なことです。
焦って、しょうもない日にも次々と調査を入れたら日数を使い切ってしまいます。
とにかく経験から来る予測能力というものがあるわけですから、結果のためにじっくりやらないといけないんです。
それを多くの探偵社は、テキトーに次々と調査を入れて空振り、日数を使い切って終わりにします。業界の暗部ですね。
多くの探偵社では結果が出ない方が作業は楽だし、延長で費用がもらえたらラッキーと考えているため、すぐに調査日数を使いつぶすわけですね。

とまぁ、松本氏と文春のバトルから探偵として見える景色があるなぁと思ったしだいです。

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