2023年2月23日 (木)

浮気の言い訳

浮気調査のあと、皆さんがどうされるかと言いますと、大きくは二つに分かれます。

一つは「離婚」。
もう一つは「配偶者の浮気相手に慰謝料請求」です。

だいたいどちらを選択しても弁護士さんを入れることになります。

よく相談の際に「夫に証拠を突き付けてやりたい!」とおっしゃる方は決して少なくはないのですが、当事務所ではそれを「バカのやることですよ」と説明します。
証拠を突き付けて「ごめんなさい、もうしません。反省しました」と言う人は一人もいませんし、むしろ逆ギレされて、攻撃が激しくなるか、配偶者を無視してくるか、になります。

そう説明すると、皆さん次に同じことを聞いてこられます。
「証拠を見せないと夫が納得しないです、証拠を見せないと絶対に認めません」と。

同じことを聞かれるのでいつも同じお話になりますが、「認めさせる必要がどこにあるんですか?認めてもらう必要がないです」と言うことになります。
必死にごまかし、相手の女をかばうだけで、証拠を見せても何も変わらないのが現実です!

ボクらは過去に何千件もの相談や調査をしてきて、皆さんがその後どのようになったのかを知っています。
ほとんど例外というものはなく、3~4パターンのどれかになるだけなんです。
証拠を見せたり、もしくは見せずに自分で話し合いをしても、だいたいが「証拠を出せ。証拠がなければ話し合いもしない」と言い返されます。

そのために証拠を見せたいという気持ちはわかります。
でも、証拠を見せても、本当に反省して浮気をやめる人は一人もいません。
証拠を確認したら、その証拠をごまかす言い訳を並べて、最終的には暴言を吐いてくるか、無視か、離婚を要求してきます。
浮気をやめる人はいません。

証拠を突き付けて、反省モードになるなんて、それはドラマの中の話です。
確かに風俗とか、やれればいいということでいろんな女性と遊んでるだけの遊び人の旦那は一旦反省の姿を見せると思います。
でも、探偵事務所にまで依頼となる方々のケースは、そういうちょっとした遊びの浮気とは違い、すでに浮気相手に入れ込んで、離婚の気配を感じるようになっている危機的なものがほとんどなんです。

そういう相手に浮気の事実を認めさせる必要はありません。そんなところを努力するだけ時間の無駄です。
認めさせなくていいんです。
慰謝料請求したらいんです。
証拠があるんですから。

証拠は裁判にならなければ相手に見せる必要がないんです。
手の内を明かす必要はありません!


離婚を迫って来てる夫の浮気の証拠を取ったあとで、弁護士さんを入れる前に、夫と一旦軽く話し合いをすることはボクもオススメしています。
相手の出方を見ることは大事なことですから。
すでに離婚を要求されている場合は、その条件(養育費、財産分与など)をどう考えているのかなどを聞くことは間違ってないです。

ただ、その話し合いの際に、証拠が何かあるんだな、と夫もなんとなく気づくことは多いです。
妻が「浮気しているんでしょ!」とケンカを売るだけの場合は、夫も高圧的に逆ギレして攻撃してくるものですが、妻が静かに話し合いをしてくると、何かを察するということが多いものなんですよね。

その際に、夫が浮気をごまかすために言う浮気の言い訳って、みんないくつかの同じパターンになります。

最初は、「証拠はあるのか、あるなら見せろ」に始まり、
冷静な妻の様子を見て、何かがあることを察すると、「確かに会社の女性のアパートには行った。でも、それは彼女が元カレのストーカー被害にあっているということから、防犯のために行ってただけだ」と言い訳を始めるというのが鉄板ですね。

もしくは「彼女が会社のことで悩んでいて相談にのるために行っただけだ」ですね。

ラブホテル利用のパターンでも同じです。
「相談にのるために人目につかない場所がたまたまホテルだっただけだ」ですね。

まぁ、それらの言い訳くらいしかできませんよね。
それに対して、あえて「おかしいでしょ!」なんて言い返す必要もないです。
しょうもない言い訳を心の中で笑ってください。苦笑いですが。
ストーカーから、なんでお前が一人で守ってやらなきゃいけないんだっつーの。

相談にのるためにラブホですって!
アホかと。
相談にのるなら、ファミレスや、カラオケボックス、個室居酒屋とかでもいいですよね。
まぁ、それだって配偶者から見たら嫌ですが。
他の同僚も交えて相談しろよと。

もちろん、相談ではなく、不貞行為のために行ってるわけですから、ラブホや相手の部屋なわけですけどね…。

この手の妻子持ちの男性に相談を持ち掛けて接近してくるヤバイ女のことをネット界隈では「相談女」と呼ぶらしいです。
何のひねりもないストレートな名称ですが、それがなんか逆に妖怪っぽいですね(口裂け女みたいな…若い人は知らないだろうなぁ)。

ほんと、毎回馬鹿らしい言い訳を聞かされるだけなので、浮気の事実を追及する必要はありません。

どちらかと言えば、やはりここ数ヶ月の旦那の態度を見て来て、もう我慢できず離婚を選択する方も多いので、離婚を選択するというのであれば、もう話し合いの必要もなく、弁護士からの通知でスタートして構いません。

相手の土俵で話し合いをする必要はないです。
相手にペースを合わせる必要はないです。

自分と子どもの今後の人生のためにサクサクと進めて行くのが一番良い結果となります。
どんな状況になろうが、ケンカをしてはいけません。一生嫌な気持ちを引きずることになりますので。

離婚後に大事なのはお金です。特に子どもがいれば間違いなく。
10万でも、100万円でも、多くのお金をいただくことが大事なんです。
浮気を認めさせることを目的としてはいけません。
夫から、もしくは浮気相手の女から、慰謝料や養育費として賠償金をもらうことが目的なのです。
そのためには素人考えで突っ走らずに、ボクらや気の利く弁護士さんに相談をして、損得を考えながら冷静に進めることです。

証拠があれば、やつらがいくら浮気を否定してきても、慰謝料の支払いからは逃れられないんですから。

大事なのは再出発のためにお金をもらうことです。
気持ちの部分は時間と共に変化しますが、子育ては待ったなしでお金がかかりますので。

一つ一つしっかり進めて、再出発を少しでも良い形で始めていきましょう。
そのお手伝いをするのが当事務所ですから。

2022年12月 4日 (日)

東京の探偵社代表の事件

昨日(12月3日)、写真週刊誌フライデー・デジタルに掲載された記事です。
東京の探偵社の代表者だった男が女性監禁で逮捕されたというニュースです。

有名探偵社元代表のヤバい素顔 監禁被害女性が語る恐怖の4日間
配信 FRIDAY DIGITAL (リンク先はYahoo!ニュース)

この探偵社は検索すると出てきますが、東京の「ラビット探偵社」ですね。
逮捕された男は一昨年まで代表取締役、その後は取締役という立場だったようです。

フライデーによれば、暴走族出身で暴力団にも在籍していたとのこと。
裏社会について書かれたサイトなども検索で出てくるので読んでみたところ、八王子の半グレグループの一員だったとのこと。
これらの記事のどこまでが正確な情報かはわかりませんが、東京では元暴力団員が経営している探偵社というのはいくつかあります。
東北地方では聞いたことがないので、東北ではおそらく暴力団系はないのではないかと思いますが。

探偵は公安委員会(警察)に届け出て開業しているのに、なぜ暴力団員だった人間がいるのかというと、法律上、暴力団を辞めて5年以上経っている者や刑事事件を起こしてから5年以上経っていれば一般人として探偵業を開業することができます。
岩手県でも前科から5年以上経っているので探偵をやっている人間もいます。法律でそのように定められているので可能なんです。

ちなみに当事務所はワタクシ含めスタッフに前科はありません。当然です。


ラビット探偵社(株式会社ALL & ソリューションズ)は今年9月に消費者庁から、契約書や重要事項説明書が違法状態にあるとして改善措置が取られたことが発表されています。

とちぎ消費者リンクと株式会社ALL & ソリューションズとの間で差止請求に関する協議が調ったことについて(消費者庁:2022年09月21日

契約後に何もしていなくても多額の解約金(総額の10%か10万円という規定だった)がかかることや、解約条項に問題があることを指摘されています。
元々は栃木県の適格消費者団体「とちぎ消費者リンク」が、ラビット探偵社に申し入れを行ったもので、これを無視すれば最終的には公安委員会からの業務停止命令にまで至ることから、改善に応じたとされていますが、その中でこの事件ですからね。

この上記の条項に問題があるということであれば(もちろん問題なわけですが)、関東の探偵社の半分近くは引っかかってると思いますね。
ボクらいちご探偵事務所は解約金という条項すらなく、調査を行った費用、拘束された時間の費用以外に依頼者さんに請求が発生することはありません。
ところが多くの探偵社では、調査費用に別途解約金という条項があることが少なくありません。
盛岡でも、解約しただけで20万円取られるという探偵社がありました。今でも存在しています。

考えてみると、家を買う時などによく「手付金」というものがあり、解約したい場合に何月何日までに解約しないと手付金が戻って来ないという制度ありますよね?住宅価格の5~10%と言われていますが。
5000万円の家なら、解約で250~500万円を取られるって、なんかすごく理不尽ですよね。

これって事実上、この探偵社の解約金問題が消費者庁に公表されるのと同じで、ほぼ違法状態に感じますね。
探偵社がアウトなら(もちろんアウトですけど)、不動産・ハウスメーカーも同じようなことに思うんですが…。

手付金を返さないというのは、商慣習上、今まではそうだったかもしれないけど、消費者保護が進む今後はありえない取り決めだと思います。
この手付金条項は実は民法で定められているもので(民法557条1項)、支払わないといけないものなんですが、人にはいろんな事情があるんですから、法律を改正すべきですね。
手付金がないと、あちこちの物件を同時に「押さえ」で契約する人が現れたり、仮契約などで押さえている間に営業ができなくなることなど、業者側に配慮した法律なのですが、そういったケースではない事情が発生した一般市民のことも考えてもらいたいものですね。
国や政府も結局、力が強い業界団体には頭が上がらないんでしょうか。

国民が法律のことを学び、目先の損得や、業者さんがそう言ってるから大丈夫だろうということではなく、しっかりリスクなどを考慮して契約できるようにしていかないといけませんね。

以上、探偵社代表の事件と、契約トラブルについてのお話でした。

2022年11月28日 (月)

オヤジのようでアニキのようで

映画監督の崔洋一さんが亡くなりました。
ボクが若かりし頃、一緒に仕事をさせていただいていて、監督をまるで親のように思っていたのでショックで寂しいです。
崔監督は、映画「月はどっちに出ている」、「血と骨」、「カムイ外伝」、「マークスの山」、「黒いドレスの女」、「花のあすか組!」などを監督した方です。

映画監督・崔洋一さん死去 晩年はがんとの闘い…親交あった松田優作さんと「まさか同じ病気になるとは」
11/27(日) 18:50配信

「月はどっちに出ている」「血と骨」など骨太の作品を数多く発表し、22年6月まで日本映画監督協会の理事長を務めた崔洋一(さい・よういち)監督が27日午前1時、ぼうこうがんのため東京都内の自宅で死去した。73歳。長野県出身。がんを患っていることを1月に公表して闘病したが、力尽きた。葬儀・告別式は家族や近親者で行う。喪主は妻青木映子(あおき・えいこ)さん。後日、お別れの会を開く。

 硬軟問わず、パンチの効いた作品で映画界に風を起こし続けた崔監督が静かにその生涯を閉じた。19年にぼうこうがんが見つかり、翌20年4月に16時間に及ぶ手術で摘出。その後、小康状態を保ったが、術後1年の検査で右腎、リンパ、肺に転移していることが判明。まずは大元のぼうこうがんを撃退するため22年2月4日から「パドセブ」という新療法を取り入れて、月に3回の投与を続けてきた。

 4月には「ラスト・ショー」と題した7日間に及ぶトークライブをテアトル新宿で開催し、完走した。助監督時代に「最も危険な遊戯」(1978年)の現場で出会って親交が始まった松田優作さんの没後30年を記念して製作した「松田優作・メモリアル・ライブ」「優作について私が知っている二、三の事柄」の上映と連動させたイベントだった。

 「優作とまさか同じ病気になるとは…」と因縁めいたものを感じていた崔監督だが、連日の大入りで無事に完走できたことに「企画立ち上げから準備、そして本番と、ショービジネスの世界で生きてきた自分にとっては面白いセブンデイズだった」とステージで感涙。大入りのファンから大きな拍手を送られた。その後、再び抗がん剤治療を受けていたが、ついに帰らぬ人となった。 (スポニチアネックス)


崔監督とはテレビCMの仕事で出会い、助監督をさせていただきました。
鬼監督、怖い映画監督と言われていましたが、CMの仕事は映画とは違ったのか、いつも優しくて、気さくで素敵な方でした。

演出部として入ったボクは、大阪のロケハン(撮影のロケ地選定)業務を主に行い、数シーンに対し、100を超えるロケ地の資料を提出して、監督とカメラマンが撮影シーンを選定する手助けをしていました(当時ボクは大阪に住んでいたのです)。
すぐに採用されたロケ地もありましたが、現場に行ってみるといくつかは監督のイメージと違っていたようで、「もっとない?」と聞かれて、初めて会って把握した崔監督の好みを反映させたロケ地を案内するということを何度も繰り返しました。

それからのち、とある仕事で崔監督から指名を受け、再びロケ地選定の業務をいただきました。
指名されたことが本当にうれしかったですね。「あいつ使えるから呼ぼう」と思っていただいたことがうれしかったです。

仕事の合間の食事や飲み会ではボクら若手スタッフにも隣に座って気さくに雑談をしてくれて、肩書や年齢で壁を作らない自然な方で驚きました。こんなに自然体な有名監督がいるんだろうかと…。
たまたまかもしれませんが、鬼監督との噂が嘘のように感じましたね。
後年、カムイ外伝で主演した松山ケンイチもそのようなことを話していましたので、演出スタイルが変わったんだと思いますね。

昭和のニオイを感じさせる骨太な映画監督と言われましたが、ボクにとっては、優しいオヤジみたいな存在でした。
いや、オヤジというよりアニキかな…。年齢差はありますが、アニキのように感じていたかもしれません。
すごく寂しいです。

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